年齢と腰仙角が大腰筋に及ぼす影響について

投稿日時: 2007年09月11日

キーワード:MRI・大腰筋断面積・腰仙角
医療法人 慈圭会 八反丸病院
中村 裕樹 リハビリテーション部
八反丸 健二 医師
屋部 太輔 放射線室

【目的】
日 頃臨床で、患者の評価をする時に評価結果と腰部MRIを比べながら今後のリハビリテーションの展開を考えることが多い。その際に脊柱管ばかりをより注目し がちである。しかし、脊柱を取り巻く筋もおざなりに出来ない。そこで今回大腰筋にスポットを当てて、面積や縦・横径について検討し、更に筋断面と腰仙角に ついても検討したので報告する。

【方法】
対象は当院で腰部MRIを撮影した患者207例(男性76例・女性131例、平均年齢63.8±19.9歳)であった。第4腰椎上縁で横断された画像を用い、左右の大腰筋の縦径・横径と筋断面積と第4腰椎々体面積を測定し、10代〜90代の各年代で比較検討した。
ま た、対象の中で静止立位側面腰椎X線像を撮影した31例(男性13例・女性18例、平均年齢61.8±17.9歳)について腰仙角を測定した。健常群の腰 仙角の平均値は35度であったので、35度を中間値とし対象者を35度未満の群と35度以上の群で分け、各群の大腰筋断面積について比較検討した。

【結果及び考察】
1.年代別に椎体面積を比較した結果、有意差は認められなかった。
2.年代別に.筋断面積を比較した結果、各年代で有意差があった。更に30代までの断面積と比べ80代以降では1/2の値であり加齢に伴う筋力低下が示唆された。
3. 年代別に縦径・横径について比較した結果、各年代で有意差を認めた。縦径は加齢に伴う変化は少ないが、横径は加齢による変化が大きかった。これは筋繊維が 上位の腰椎から始まるものは外側へ、下位の腰椎は内側へと層状に配列していることにより前後の変化より左右の繊維の萎縮がまず起こるのではないかと推察さ れた。
4.腰仙角35度未満と35度以上の群を比較した結果、筋断面積に有意差を認めた。腰仙角と腰椎前弯との関連は鈴木らによると腰仙角が増大 すると前弯角も増大するという関係にあると述べており、腰椎前弯の増大は体幹を伸展方向へと作用し、大腰筋へより負荷が生じることになる。今回も35度以 上の群でより高い値を示し影響が示唆された。しかし、腰仙角と腰椎の動きには個々で固有なものがあり一概に言えないところもあり、より詳細な姿勢と筋力の 分析を行い訓練することが必要と考える。それにより何によってもっとも影響を受けるのか、腰痛の軽減効果や他の筋群との関連性が今後の課題である。


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